0番に立つひと。

 

子供の頃から、そうだな20代前半の頃は本当に大好きで大好きで年パス買ってそりゃあもう通いまくった日々で。彼氏と行ったり友達と行ったり家族と行ったり。

 

2001年にオープンした時。

オープンしてすぐ。

ディズニーシーに行ったんだよね。

誰と行ったかな。覚えてないな。

そのくらい大昔。いにしえ。太古。

 

それ以来。

どうゆうわけかちょっと意味わかんないんだけど。舞浜の地に降り立つ事なく。

 

大人になってしまうと、残念ながら足を踏み入れるチャンスがなかなかない。ほとんどない。

 

若い頃一緒に通った友達には家族ができて、家族で遊びに行くひとに「一緒に行って?」はなかなかハードルが高い。

 

色々すり減らして仕事してる同僚たちに、「休みの日一緒に行かない?」はもう全然むり言えるわけがない。

 

ドライブしたいとか自然が見たいとか言って行き先をうやむやにしてオタ活に付き合わせるオットもさすがにこれは申し訳なくて誘えない。

 

ささっと電車に乗ればパパッといつだって簡単に行ける場所だったのに。遠い。遥か彼方。永遠に辿り着けない場所。もう二度と行けないのかもしれない。死ぬまで行けないんだろうか。あんなに好きだった場所なのに。きっかけもない。勇気もない。なにもない。

 

そんな私をみかねて、オタクが誘ってくれた。泣いちゃう。実際泣いた。何度も頻繁に家族と一緒に通ってるのに。私がどうしても行きたかったから。いいなーいいなーっていつも言うから。涙ちょろりだ。

 

少し前の話なんだけどね。

わたくし。わたくしめは。

約20年ぶりに舞浜の地に降り立ち、ディズニーシーにて失われた時を取り戻した。

 

右も左も。前も後ろも。上も下も。どこを見ても夢。夢しかない。なんだこれ。全部夢じゃん!!私がいなかった20年の間にもみんなはこんなにはしゃいでたのか!えぇ?!ほぼ全員カチューシャつけてるやん!!!!は?みんなミニーやん!!みんなくまさんやん!え?みんなベージュやーーんんん!!!なにこれ!そんなに?そんなにはしゃいでええの?嘘でしょ?!信じられん。嘘だと言ってくれ。楽しい!20年前にはなかったアトラクションがあちこちに!嘘だ!こんなの嘘だ!楽しい!楽しすぎる!死ぬ!泣く!なんであたしは20年も来なかったのだ!!!

 

最初の2時間はずっとこんな感じだった。

 

ミッキーのね。

ビッグバンドビートというショーをオタクが抽選で当ててくれて。観れたんですよね。奇跡的にね。ミッキーがタキシード着て、ドラム叩いてタップ踏むショーなんですけども。

 

隣にオタクが座ってるのもあいまってね。

 

ミッキーが0番に立って両手広げてるの観たらうっかりジュワッと目から水分がね。あまりにもなんでもできてしまうミッキーマウスが大好きなひとに重なって見えて、劇場の大きさがなんともとても身に覚えがあってね。

 

漠然と、まだしばらくは続いてゆくものだと思っていたし、これが最後だなんて自覚も覚悟もなく、髪の毛ファサッとさせて6ミリをチラ見せしてくれる紫耀くんのことみて、ただただふわふわと幸せな気持ちで座っていた私をぶん殴りたいよ紫耀くん。

 

クリームまみれのくしゃっとした顔で笑う紫耀くんが、どんどん遠くなってしまう。記憶にどんどん紗幕がかかってしまう。

 

あぁ。0番がよく似合うな。万人を笑顔にして世界中を幸せで包むミッキーと紫耀くん。真ん中でキラキラ輝いて眩しくて眩しくてたまらない。ずっと、永遠に、そこにいて欲しい。

 

できることならいつか。別のところでもいいから。また0番に立つ紫耀くんに逢いたい。

 

 

 

 

舞浜で、紫耀くんへの想いを募らせるオタク。

 

なにしろすっかり大人になってしまったオタクたちは待機列にいる間も永遠にKing&Princeについて語り合う。あーだこーだくっちゃべって、順番がくればひやーとかぎゃーとか言って空を舞い、また待機列でこの仕事はよかったこうゆう仕事がみたいとくっちゃべり、ようやく順番がきたならばまたうひゃーとかがははと笑い、また待機列でどれだけKing&Princeが好きかを語り合う。

 

前や後ろに並ぶ若い男の子たちを見ては、彼らが簡単にはもうここに来れないことにハッとして、うなだれて、一般人でごめんね、こんなにはしゃいでごめんね、きっとこんなふうに遊びたかったよねごめんね、アイドルでいてくれてありがとうごめんねと繰り返す。情緒がひどい。信じられないくらいにひどい。様子がおかしい。

 

それでも。

 

20年の時を経て、おとなになった同性の友達とくるディズニーはこんなにも楽しいことを知る。

 

どんなに暗闇でも。エンターテイメントの光に救われて、引っ張り上げられて、また明日を頑張る力をもらう。やっぱりどう考えても、私の生きる世界にはエンターテイメントがあって欲しい。夢の国があって欲しい。紫耀くんがいて欲しい。King&Princeがいて欲しい。

 

紫耀くんには元気でいて欲しい。

 

心からそんなふうに想う夜だった。

 

いつの日か。また行けますように。

 

 

だからね。もしもね。

まぁそんなひといないのかもしれないけれど。笑。わたくしが友達少ないのがアレなだけでね。みんなはきっと一緒に行く人いるんだろうけどさ。アレよね。

 

もしもね。もしも。万が一にも。世の中がまた落ち着きを取り戻してさ。同じようにずっと行きたいのに行けてないんだよってひとがいたならば、誘ってね。私喜んで行くからね。きっと幸せな気持ちになるよ。大人同士の女同士のディズニーめっちゃ楽しいよ。明日もがんばろって思えるよ。きっと。

 

またしても。

長ーいひとりごとだけれども。

 

オタクよ。ありがと。

 

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