記憶の記録。

本当に。まもなく。

始まるんだな…いよいよ。

 

これは記憶の記録。

忘れてしまわないように。

 

私は24時間テレビが好きじゃなかったずっと。

 

好きなアイドルたちがメインパーソナリティをやり始めた頃からはなんだかんだ毎年ちゃっかり観てたのに、やっぱりどうしても好きになれなかった。

 

ラソン走ってくれたり歌を歌ってくれたり山登ったり海で泳いだり色んな企画やってくれたけど、どうしても好きじゃなかった。

 

誤解を恐れずに言うならば。

 

このひとこんなにがんばってるんだから私はもっとがんばらなくちゃとか、このひとこんなに辛い目にあったんだ私はまだまだマシな方だなとか、こんなふうにプライベートを世間に晒されて本当にこのひとが望んだことなんだろうかとか、たかだか100円や千円の個人の募金で何ができるわけでもないだろうし私がやらなくても誰かがやるだろうしそもそもこのお金はどこに消えてるんだろちゃんと使われるべき所で使われてるんだろうか。

 

などなど、人間として非常に気持ちの悪い考え方しかできない私がいた。ずっと。もちろん観てれば応援はしたくなったし涙もでたし、元気になったりもしたけど、なんかやっぱりどっかであんまり好きじゃなかった。

 

母が病に倒れてからずっと、3年間は仕事と母のお世話とで家と病院を行ったり来たりの日々で、時々本当に爆発してしまうこともあったけれど、この歳になるまで知らなかったことをたくさん知ることになった。

 

最後の1年は病院を3回移った。

 

母が、とんでもなく頑張り屋さんだった為に。医師から告げられる余命をことごとく超えていくから、3ヶ月のつもりで面倒見ますよと言ってくれた病院から、思ったより長くなってるのでこれ以上は置いとけませんから他へ転院してくださいと言われてしまうのだ。笑。

 

急性医療の病院なんかは本当にそうで、それはそうで、すぐに治療して元気になって出て行くひとしかいないような所には、治る見込みのないひとを看取るシステムがない。だから、母の治りたい生きたい治療を受けたいという希望を尊重する為にホスピスではないだけど最後まで診てくれるところを探して探して探すしかない。さすがの母も、見捨てられたもう終わりなのかと感じさせる3回の転院は相当こたえたらしくみるみるうちにどんどん弱っていった。

 

この仕組みについては色々と言いたいことがあるけど、だけどきっとそうしなくちゃ機能しない社会なんだろうから仕方ないかとも思う。まぁ諦めだけど。

 

その転院の時に。

玄関に横付けされたとてもとても立派なワゴン車。所有する施設の名前が書いてある、車椅子ごと乗っけてもらえるすんごい車。

 

母も私もまだ冗談が言えるころで、いや、冗談言わなきゃやってられないころで、運転してくださる方に「これすんごいですねぇ。いくらするんですか?とんでもなくお高いのでは?あははー」くらいにぶちかましてやったところ返ってきたお返事が、「これ、アレですわ!ほら!24時間テレビの募金でいただいた車なんです!」

 

は?え?ほんと?ほんとに!

 

ここまできて初めて、24時間テレビに実際に自分が助けられて支えられて心の底から感謝したわけだ。

 

もう自力では歩けず、抱き抱えて移動なんて素人では到底できず、車椅子ごと運んでもらわなきゃ移動なんてできなかった。転院の時も、最後に自宅に連れ帰った時も、この車にお世話になった。もちろんお金を払って運転してもらうことにはなるけれど、それでも、この車がなかったら本当に本当にとんでもなくしんどかったと思う。

 

車椅子ごと車に乗っけてもらった母は嬉しそうで、車窓から見える桜の大木は「母と一緒に見る桜はこれで最後だぞ見納めだぞ」と言わんばかりの忘れがたい迫力だった。お母さん見て!桜きれいだよ!って言うのが精一杯だったけれど桜吹雪をじっと見つめてる母の顔が忘れられない。

 

 

やっと。初めて。

キラキラのアイドルたちがあの番組をやることでたくさんの募金が集まってそのお金がそれなりにちゃんと届くべきところに届いて、使われるべき所で誰かを助けてるんだって知った。遅すぎたけど。笑。

 

確固たる理由をもって、あの番組が嫌いならそれはそれでいいと思う。価値観や好みや温度は人それぞれでもちろんいい。

 

私みたいにただなんとなく嫌いだなぁとか、なんの意味があるんだろとか思うひと、あとひたすらよくわかんないけどアンチなひと、それもそれでいいと思う。

 

だけど。知らないだけで。

どこかの誰かは助けられて支えられて救われて元気付けられて背中を押されてる。自分が知らないだけで。

 

実際にありがたさを体験してしまったら、自分の好きな人たちがその番組のメインパーソナリティを任されたなら、どうしても応援したくなってしまう。母が病気になる前の自分には説教したい。

 

無理に合わせたり比べたり流されたりする必要は全くないけれど、やっぱり、自分だけの物差しなんて怖いだけだなって思った。知らないことも怖い。知ることも怖いけど。

 

24時間経って5人がどんな顔してるのか、今から想像してすでに涙出てきちゃうけど、5人の中の何かが変わるだろうし生まれるだろうしスタートするだろうなと思うから、この先あるかわからない一度きりかもしれない大役を務める大好きたちをしっかり目をかっぽじって見届けたい。

 

あたしは夏休みをとりました。

 

休暇申請「かぐや様初日と24時間テレビを見届ける為」

 

楽しんでおいでーと送り出してくれたたった1人の上司には、足向けて寝れない。