ぶつかり稽古
休憩室で休憩中にイヤホンもせずに性懲りもなく紫耀さんと海人さんのやんのかコントを観てたわたし。ニヤニヤしてるの自分でもわかるけどそんなのどーでもいい。
職場のアルバイト(22歳女子)。
「あの…〇〇さん…」と話しかけられた。
そうね。いつもはアレだね。仕事はものすごくしっかりやってくれるけど、とっても大人しくてお淑やかであまり自分からバンバン話したりするような女の子じゃなくて。
元気?とか大学どお?就活忙しい?勉強ちゃんとやってる?ごはんしっかり食べるんだよ?なんか仕事で困ってない?なんかあったら気軽に声かけてね?などなど、言い方悪いけど当たり障りのない会話でさらっと過ごすことが多かった私たち。
なんか急に名前呼ばれてドキッとしたわけで。
「あの…〇〇さん…」
『うん。なぁに?』
「あの…〇〇さんっ…えっと…あの…」
ドキドキした。
なんだ。あたしなんかしたか。
なんかあれかハラスメント系だろうか。なんか聞いちゃいけないこと聞いたのか。彼氏いるの?とか飲み会やろ?とかそんな危ないことは言ってないはず。
怖い。めちゃくちゃ怖い。
辞めるのか。え?辞めたいとかそうゆうやつか。怖い。なんだ。そんなあらたまってなんだよ。怖いよ。
「あの…アレですよね…〇〇さんって…あの…アイドルっていうか…あの…キンプリ好きですよね…?ロッカーに写真いっぱい貼ってますよね…?違いますか?アルバイトの子たちからなんか〇〇さんキンプリ好きって聞いて…」
ホッとしたよ。ホッとしたと同時にわかっちゃいたけど職場であたしがキンプリに狂ってることを知らないやつはいねぇという事実に狼狽える。
『うん!そうだね!うん!好きだよ!』
「実は…私…あの…ずっと二次元の世界のひとが好きで。大好きで。二次元の世界に生きてきたので…それでアイドルとはまた違うんですけど…実は…生まれて初めて、三次元のひとを好きになったんです…」
なんと!!!!!泣きそう!!!!!
『えーー!!!誰なの?どこの誰?あなたの初めて奪ったのどこの誰なの?!?』
本当に申し訳ないんだけど、韓国のほうの方々で、本当に申し訳ないんだけど、私全然詳しくなくて、だから本当に申し訳ないんだけど、でも泣きそうだったマジで。
「ずっと二次元のひとが好きで。同じ命がある三次元のひとの沼に気づいたら転げ落ちててなんか同じ時代に生きているってことがもう奇跡で感動で、もしかしたらこの先実際に逢えるかもしれないって思ったらそれだけで世界がキラキラして見えて、毎日起こる些細ないろんな嫌なことが全部へでもなくなって、だからいっぱいバイト入ってお金貯めて、ハングル習いに行って話せるようになって、いつか韓国に逢いに行きたいんです…」
見たことない顔と温度でたくさん話す彼女を見てたらここで私、ほんとにひとすじの涙が流れた。
もちろん二次元がダメだとかそんなことは1ミリも思わないけど。
新しい世界に足を踏み入れて、初めての気持ちに動揺して、だけど出逢って一瞬で世界が変わって、人生が煌めいて、それをきっとその場所に先にたどり着いているであろう私に震えながら話しかけた彼女の「この気持ちわかってくれますか?共有してくれませんか?」の素敵な圧力は圧倒的だった。
そんでもってさ。
あたしはというとさ。
そんな純粋な綺麗なものをどっかに置き忘れてしまったのかもしれないと思わずにはいられなかったよ。
そうだった。ほんとに。そうだった。当たり前になってなかったか?私よ。なにもかも今与えられているものが当たり前に感じてしまってないか。全部、奇跡だったのに。ギリギリ同じ時代に生きてることも、出逢えたことも、CDを買えることも、TV出演も雑誌表紙も。逢えるなんて奇跡中の奇跡だったのに。
ただ、毎日が楽しくて世界がキラキラ見えてそんなふうに自分の人生が変わったこと。ありがたい奇跡だった。
久しぶりにジャニーズファミリークラブに帰還したばっかりの頃の気持ちをすっかり思い出した。推しがいるってほんと最高。界隈が違ってもオタクと話してる時間最高に楽しい。聞いて欲しい!話して欲しい!ってオタク同士の魂のぶつかり合いは気絶しそうなくらい幸せだった。ぶつかり稽古ばんざい!わたしももっと楽しもうって思った。だって楽しいからやってんだし。かっこいい!とか最高!とか好き!とか結婚して!とか、そうゆうことをただバカみたいにずーっと叫んでるひとでいたい。原点回帰だ。
どう考えても大好きでどう考えてもきっとずっと好きで、デレ期は終わらないし終わらせたくないし、日々好きは更新されていくから体力勝負みたいなとこある。
永遠の新規ってやっぱり楽しくて最高だからもうずっと永遠の新規でいたい。