自分だけの正義なんだこれは。

 

彼とは同担だった。伊勢佐木町の路上時代からかれこれ20数年。私の人生にはいつも平成フォークデュオの音楽が寄り添っていて、途中からは同担の彼が加わってMVなんかに出ちゃったりしてそれはそれはもう割と強火な同担としていつもいつも気にかけていたし作品はほぼ観ているなぁと思う。悲しそうな笑顔が切なくてでもそこがとてもとても大好きだった。

 

 

この数日間。自死遺族としてはどうしたって置いていかれた方の気持ちにひっぱられてしまう。本人よりも「置いていかれてしまった」と思ってる人の方にひっぱられてしまう。

 

どれだけ時間が経っても。

 

高い建物に登れば「痛くなかったかな。できれば途中で気を失ったりしてくれてたらいいな。最後の感情が 痛い だったら嫌だな。私の顔はチラリとも浮かばなかったのかな。」などと思う。

 

高い建物を見上げれば「今あそこに誰かが立っていたら肺が破れそうになっても階段を駆け上がってその手を握るのにな。」などと思う。どうにかこうにか時間よ戻れと願うしのび太くんみたいにドラえもーんって泣きついて「その時」に戻りたい。戻ってもこの世界に引き止められないかもしれないけれどせめてちゃんとお別れを言いたかった。どれだけ時間が経っても。そう思う。

 

親でも子供でも恋人でも友達でも。

 

もう「本当の事」を知ることはない。どれだけ近い距離にいたって「本当の事」は当人にしかわからない。もう絶対。だからこの先、もう本当の事は絶対にわからない。絶対に。もう聞く事ができない。

 

それなのに。「誹謗中傷に苦しんでいた」「彼女との破局に傷ついていた」「仕事で悩んでいた」などなどと、まるで見てきたみたいな言葉が踊りまくっている。報道されて1時間も経たないうちに追悼動画を作ってる人までいて、それを観た時にあぁこれはまずいなって思ってそっと携帯を置いてもうなにも見なくて済むように自分を遠くに逃してあげた。なかなかいい判断だった。うん。逃げるって大事だ。

 

少し落ち着いたら突然に冷静な自分がいて。

 

「誹謗中傷してる人はもうやめて」

「あなたのせいで彼は死んだのよ」

「事務所は仕事を入れすぎだった」

 

などなどと本当の事を知らない人間たちがよってたかって「正義」という名目で放った言葉がまた別の誰かを追い込んでいることにまったく気づいてないんじゃないだろうか。「みんなにとっての正義」だと思ってることが実は「自分だけの正義」なんだと知らない事がとても恐怖。怖い。

 

もともとめんどくさい人間なので、言葉には人一倍気をつけているけれど、それでも私の言葉が知らないうちにどこかの誰かを傷つけているかもしれないって思いながら生きてるし、大きな声で誰かを責め立てるような事ができるほど立派な大人でもない。私の正義はかなり歪んでいる自覚もある。

 

だからこそ。今回の事だけじゃなくてなにか不満があるとここぞとばかりに張り切って正論振りかざして犯人探しをする人たちはとんでもなく清廉潔白で後ろめたい事がなに一つない人生を生きてきた人たちなんだろうなと思う。(完全な嫌味) 

 

うん。こうやって他人を責めてる事も。これも全部自分だけの正義なんだ。

 

 

 

私が休日に昼まで眠っている間に彼はいってしまったし、デビュー記念日に日付が変わって仲間とワイワイやってる時に若くて優しくて美しい女の子がいってしまったこと、多分ずっと忘れないだろうなと思うし、忘れられないよなと思う。

 

生きてるだけでファンサだし、生きてるだけで奇跡だよなって本気の本気で想うんだ。誰もが鋼のメンタルを備えているわけじゃないし、いつそのスイッチを押してしまうかわからない。アイドル辞めたっていい。どこかで穏やかに朗らかに心許せる人と一緒に健やかに生きてくれてたらそれでいい。2度と逢えなくなったとしても絶対にその方がいい。本気でそう思う。できることならずっと見守っていたいし夢叶えるのを見届けたいけれど、でも、「あぁ。いい天気だな。今日もどこかで紫耀くんは笑って生きているかなぁ。」と思えるなんてそれはそれで本当に最高だなと思う。

 

音楽の日。14時から最後までもう気持ちはすっかり中居くんと安住さんの隣に立っていた。なんなら3人で9時間の生放送をやった感すらある。(途中ジロちゃんに浮気したけど)

 

どのアーティストの歌も全てレクイエムに聴こえていくらでも泣けた。色んな巡り合わせみたいなものまで感じてしまった。顔も体もパンパンになるくらい泣いた。(パンパンはいつもだけど)

 

生田さんのアンダーで出た女の子の上手さにびっくりして、さらにグループでは最後列にいたもんだから層が厚いなすごい乃木坂!などと感動したりした。

 

そして、たくさんのジャニーズたちがこれでもかとガムシャラに何かを届けようと必死になってくれたことが本当に眩しかった。煌めいてた。生きてるなぁって嬉しかった。大切な人との信じられないようなお別れが突然やってきた中で、がんばって笑ってくれたアイドルもがんばったけど笑えなかったアイドルもみんなとても人間臭くてかっこよかった。そして心底。私、アイドルが大好きなんだなぁって思った。ジャニーズが大好きなんだなぁって思った。もちろん「歌って踊ることが好き」というのが前提にあるとしたって、こんなにも誰かのために他人のために届け!届け!届け!って与えてくれる職業を私は他に知らない。

 

今日も今日とて。紫耀くんの事が大好きだった。明日も明後日ももっと紫耀くんの事が好きなんだと知ってる。ついに同僚から陽性者が出て離脱者も出て、人が足りなくて忙しくて、ヲタ活も遠のいて、うっかり心が真っ黒になりそうだけど、がんばる時はがんばる。逃げる時は逃げる。仕事からも家族からもSNSからも。自分の機嫌は自分でとる。自分は自分で優しくする。自分だけの正義も大事にしつつ、でも決して人に押し付けないで想像力だけはしっかり抱えて、元気に笑ってたくさん食べて紫耀くんへの愛を叫びながら生きていく。うん。そうする。